テツとしては庭に軌道があるだけでワクワクしてしまうワケで、庭に敷いたレールはオブジェとしても秀逸であります。
写真は既出のモノですが、見てるだけでニマニマしちゃうのですよ。そんなワケで線路延長に向けた土建作業ばかりやっていますが、そろそろ上モノも考えようという気になってきました。JAMで見た大御所や大先輩の上モノに刺激されたというのもありますし、これから秋の長雨や台風のために屋外作業がしにくくなるコトも考えられるためであります。
さて、現在上モノ用に準備しているのは伊藤鋳工の車輪のみです。下穴として23φの穴が開いていますが、内部が荒れていてとてもこのまま車軸を通せそうにありません。
そもそも車輪と車軸をどのように固定するかを決めなければなりません。実車は車輪と車軸が一体となっていて車輪が1回転すれば車軸も1回転します。房洲軽便ではどのようにするか、ちょっと考えてみます。ええ、例によって理屈をこねてみようというワケです。
基本的に鉄道車輌が曲がれるのは、車輪の踏面が円錐となっており、カーブでは車輪がずれて内輪側と外輪側の回転当りの円周が異なる事から曲がるワケです。実車では回転半径が大きいので曲がり切れるのですが、房洲軽便ではr=1.5mなんて曲線があり、これは軌間の約4倍ですからJR在来線ならばr=4m程度のオソロシイ曲線となります。何らかのカラクリがないとこんな曲線は走るコトが出来ません。
ちょっと考えると中心半径1.5mとして外周約1.7m、内周約1.3mとなります。ワタシが使おうと思っている車輪の標準レール踏面径は153mmですから、曲線通過時に同一回転数で旋回しようとすると内周側は
153mm×1.3/1.7=117mm
となります。踏面が円錐状になっているとはいえ、こんなテーパーが付いているワケではありませんから何かカラクリを考えないと曲線通過はムリというコトになります。
この対策として真っ先に考えたのは大御所・大先輩ともに使っておられるプラ車輪の真似です。プラ車輪は車軸と車輪の間にベアリングを入れて左右の車輪がフリーに回転する構造とするコトによって急な曲線でも通過できるようにしたものでした。コレに倣ってベアリングを入れた車輪軸にしようと思ったのですが、ベアリングを入れた車輪はトレーラー用にしか使えませんから動力車を作ろうと思った時にはまた一から車輪と車軸に向き合わなければなりません。「ベアリングを入れて」と簡単に書いていますが、ベアリングの選定も悩むところです。
そもそもプラ車輪を使っても大御所、大先輩ともに車軸間隔(ホイールベース)は短めにされていました。理由を聞くとホイールベースを長くすると曲線での抵抗が大きいとのコト....曲線通過性能は内外輪の周回差だけで決まるワケでは無いようです。ふむ、ちょっと計算してみましょう。
上図で
・中心O、半径rの円弧ADをレールとみなす。
・点Aをレールと進行方向後ろの車輪の接点とする。
・点Cを進行方向前の理論車輪接点とする。(ACがホイールベースとなる)
・点CからACに直角な線を引き、レールと交差する点をDとする。
・点Dを通ってACに平行な直線を引き、AOとの交点をBとする。
車軸は常に中心を向いているものとして考えると、後ろの車軸はAO上にあります。
CDの距離が直線を走っている場合と曲線通過時との車輪位置の差であり、コレが大きいと曲線通過時の抵抗が大きいというコトになります。ホイールベ
ースACの長さをWとすると、△OBDは直角三角形であり、斜辺r、隣辺の1つがWとなりますから、もう1つの隣辺は
OB=√(r^2?W^2)
となり、実際の前輪位置Cと理想位置Dの距離は
CD=r?√(r^2?W^2)
となります。
コレを使って概算してみます。外周側線路径を1.7m、内周側径を1.3mとして
ホイールベース 300mmの時 外周側差27mm 内周側差35mm
ホイールベース 600mmの時 外周側差109mm 内周側差147mm
ホイールベース 900mmの時 外周側差258mm 内周側差362mm
この前提は後輪車軸が中心を指している状態であり、現実的ではありません。実際には前輪も後輪も中心を向かずに共にずれていると思われます。というワケで、どのくらいずれているのか計算してみます。
上図、外周側後輪がA点で、前輪はF点でレールと接しているとします。車軸は動きませんから、B点とG点がそれぞれ後輪、前輪が内周側レールと接する点のはずです。ホントは若干ずれるのでしょうが理想的なケースで考えます。AFの中点をD、BGの中点をEとすると
△ADOは直角三角形で斜辺r1、隣辺の1つがWとなりますから、もう1つの隣辺は
DO=√(r1^2?(W/2)^2)
△BEOは直角三角形で斜辺r2、隣辺の1つがWとなりますから、もう1つの隣辺は
EO=√(r2^2?(W/2)^2)
となり、後輪がレールと接しているAB間の長さは
AB=DO?E0
で求められます。
先程同様に外周側線路径r1を1.7m、内周側径r2を1.3mとすると
ホイールベース 300mmの時 √(1.7^2?0.15^2)?√(1.3^2?0.15^2)=0.402
ホイールベース 600mmの時 √(1.7^2?0.30^2)?√(1.3^2?0.30^2)=0.408
ホイールベース 900mmの時 √(1.7^2?0.45^2)?√(1.3^2?0.45^2)=0.420
ホイールベースが長くなるとズレが大きくなって見かけの軌間が広がっていくコトが判ります。車輪の踏面は40mmありますから脱線するコトは無いかと思いますが、ポイント通過時などは気を遣いそうです。また、正確な直角三角形ではありませんが、△ABCを∠ACBを直角とみなすとホイールベース900mmの時にAC=12mmとなり、理想的な車軸位置であるACからかなりずれるコトが判ります。
ふむ、車軸の間隔が長くなると車輪とレールのずれが大きくなることが一目瞭然です。ナルホド、ベアリングの入っているプラ車輪を使ったとしてもホイールベースを長く取れないというのはココに理由があったのですね。
ではホイールベースを短くしよう....と短絡的に考えてしまうのはちょっと危険でありまして、先日JAMでカラのトロッコを手押ししている所を観察していた際、車端寄りにあるトロッコの押し手(?)を持って加速しようとトロッコに足を掛けたところ稀に「ウィリー」して脱線してしまうシーンがありました。人間の心理としては否定できない行動であり、車体長に対してホイールベースが短く、オーバーハングが長いが故に起こる現象ですね。
このような操作を行っても脱線しにくくするためには、軸間荷重を増やすかオーバーハングを短くするしか対策は思い付きません。軸間荷重を増やすコトは総重量増加に直結しますので避けたい対策です。オーバーハングを短くするには
・ホイールベースも車体長も短くする
・ホイールベースも車体長も長くする
の2つの方法があります。当然ながら楽なのは前者ですが、それでは積載量も少ないしちょっとつまらない気もします。ふむ、後者の方法が実現できないかちょっと悩んでみましょう。
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Comments [2]
どてかぼちゃさん
うーん、難しい数字が並んでいますね。
現物合わせの私としては汗たらたらです(泣・笑)。
動力車についてですが、
松本製材のDLのように、
資金はかかりますが、
どうしても長物にしたければ、
動力車をボギーにする
というのもアリではないでしょうか。
また、運材車のように、
2軸の短いトロッコを
必要に応じてボギー台車のように活用して、
長物貨車にするという手もあるように思います。
まー、当社としては、幅60×長さ90がほぼ限界。
できれば、通路の余裕を考えると、
幅50×長さ80位が理想的という感じですから、
コンベンションに出展したトロッコが
限界サイズギリギリという感じです。
まっ、自家用実用鉄軌道ですから、
基本的に他社線に乗り入れることはないわけですから、
実際に自社線を走るギリギリの線で
各社各様に規格を定めればいいのではないかと思います。
実際の所、下ノ沢鉄道様のナベトロは、
バックゲージの違いから
当社の鈍端分岐器を通過することはできませんでした。
どてかぼちゃさん
追伸
松本製材のボギーのDLは、
下記のサイトに出ているような機関車です。
今は道路拡張工事でなくなってしまったそうですが、
このような産業軌道の自家用版で遊べたら…なんて思います。
でも、現実的にはとても無理ですけど…(泣・笑)。
安曇木材への道
http://www.modellwagen.com/azumi/azumi-2.html
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